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どうして「#直美」の美容外科医は問題か?

  • 執筆者の写真: HIKO HYAKUSOKU
    HIKO HYAKUSOKU
  • 4月17日
  • 読了時間: 3分

2000年台になって、医学部卒業後の臨床研修医2年間が必修になったのは、いわゆるSuper Rotationを、全員に義務つけて、それから各医局に入れて専門医を取るためのいわば「下積み生活」をさせる、と言う厚労省の方針に則ったレールである。ただ、その下積みこそが、専門的医学知識を獲得する重要な「後期研修医」あるいは「専修医」としての期間であり、通常は5年以上を要する。医学部に現役か1年浪人で入学した場合は、都合30歳台前半までには、臨床専門医としての、卒後研修が終了することになる。形成外科専門医で言えば、そこから数年の美容外科の研修を経て、敢えて「日本美容外科学会認定美容外科専門医」の資格を取得できるのである。つまり、早くても30歳台後半にならなければ、美容外科の専門医にはなれないのである。


しかし、美容外科チェーンの林立によって、そのような専門医を集めるのは困難を極めてきたのであろう。それは、恰も「回転ずし」と言う業態の展開によって、下積みを何年も経た寿司職人を無限数集めるのが無理になったことと同様である。

そこで、美容外科チェーンは、直美すなわち、2年間の卒後臨床研修を修了した医師を直接就職させて、美容外科医を大量生産することにしたのである。その人参は高額の給料である。それを支払うために、患者さんから高額の治療費を取るのであろう。全て保険外の自由診療であるから、安いと言う広告で患者さんを釣って、何だかんだと結局高額な治療費にされるのではないか。しかも、患者さんは実際に執刀される医師の経歴について、ホームページでしか知ることができないのが常である。しかし、そのホームページは自己申告であり、その記載が正確であるかの証拠はどこにもないのである。どこそこで、皮膚科研修とか形成外科研修と書いてあっても、研修期間と研修の内容は明記されていないことが多い。実際に、私の主宰する医局を見学程度の数か月で辞めて、チェーン店型のクリニックに就職したのに、恰も私の医局で形成外科を研修したかのような、ホームページの記載を見たことが数例ある。ホームページの経歴を鵜呑みにする患者さんが気の毒である。


改めて、「直美」と言うのは、臨床研修2年間を修了して、直ちに美容外科クリニックに就職する医師のことである。あるいは、形成外科を含めて他科の医局に数年在籍して、美容クリニックに就職することもまた、「直美」に準ずるのではないか。形成外科や皮膚科はまだましで。内科や精神科というのもあるようである。これは、日本の医学教育の大問題ではなかろうか。


文責:日本医科大学名誉教授 百束比古


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警鐘!美容医療の落とし穴: 〜美容外科・美容医療に 纏わるトラブルや後遺症集


美容医療で死なないために: 美容外科・美容医療に纏わるネガティブな問題と近未来への提言


#直美

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