巷に多くの#美容医療のチェーン店が林立し、広告で国民の射幸心を煽っています。
値段も安いと設定されていますが、例えば1000円~と書かれていれば、それが最低ではあっても、実際には、技術料、麻酔料、材料費、消費税などが含まれているとは書かれていません。安価の表示は集客目的で、実際には何だかんだで料金が変わる可能性があります。
今回は、現在美容医療の世界で非常に問題となっている、ニセ医者の問題と、海外で受ける美容医療の問題を指摘してみます。
① ニセ医者による施術
大別して以下の2通りの事件がありました。
1. 美容クリニックの無資格者の機器による施術
レーザーなどの機器による美容医療は、テクニカルには医師でなくとも見様見真似でできるかもしれません。そこで、クリニックの事務職の人が、医師の居ない状況で施術をしてしまう、と言う医師法違反の事件が過去に幾つかありました。白衣を着ていれば医師だと思わせることは容易ですから。気を付けましょう。
2. ニセ医者によるフィラー注入
以前にブラジルで、女性が尻を大きくするためにニセ医者に何らかのフィラーを大量に注入されて死亡したという記事がありました。ブラジルでは女性の性的評価はバストより尻の大きさだと聞いたことがあります。死亡の原因はわかりませんが、推測するにフィラーの血管内注入による肺塞栓と思われます。解剖学を勉強した医師であれば、起こり得ないミステークです。
わが国でも、韓国人の看護師を名乗る女性が、水商売の女性をマンションに一室に集めて、顔面や乳房に成分不明のフィラーを注入して歩いている、と患者さんから聞いたことがあります。フィラー注入は注射器と注入する物質があれば、医師でなくとも可能であり、しかも何を注入しているのかもわからないため、ニセ医者が蔓延る分野と考えると、非常に危険なことなので、厚労省、消費者庁やマスコミによる注意喚起が必要です。
3. 脱毛サロンの超音波機器によるたるみ取り
これは最近、わが国で問題となっているので、知っている方もおられるでしょう。ハイフRと言う超音波でたるみを取るという機器です。非観血的な機器なので、医師でなくても使用してよいと言う触れ込みで、業者が売っているのかも知れませんが、神経障害などの後遺症をまれに遺す様に、身体に何らかの侵襲を与える機器である限り、医師もしくは医師の指導の下、資格を有する医療従事者でなければ、施術すべきでないと言われています。
➁ 海外での施術
日本の美容医療より安価であり、海外旅行のついでに美容医療を受ける、と言う女性が多いようです。対象国の殆どは韓国であり、中国やタイもあるようです。しかし、私はこの様な行為は危険であると思います。
その理由を以下に述べます。
1. 医師の素性が不明
美容医療に携わる医師というのは、日本でも外国でも、真っ当な教育機関が皆無に等しく、形成外科などの外科系の卒後研修を十分に経た医師なら良いのですが、そうでない医師も多くいるわけですから、知識や技術にばらつきがあります。とくに、外国では美容医療に携わる医師の経歴や技術を知ることは困難です。
2. 安価と言う確証はない
施術の料金が、外国の方が日本より安いというのはアフターケアや術後の責任がないからです。あるいは、円安ですから、多くの場合思い込みかもしれません。しかし、アフターケアやクレーム対応を謳っているクリニックもありますから、不随するサービスの質に依ると思ってください。
3. 術後の治療がないか、あっても短期
医療と言うのは、レーザー照射とか手術に関わらず、施術後の処置や経過観察が重要です。短期間の滞在中に、診療を施行されて、帰国してから、抜糸を日本の医療機関で行う、などもってのほかです。そのような患者さんを何人か抜糸した経験があります。しかも血腫が遺っていたり、糸が何本か自然に抜けていて、傷が開いていた患者さんもいました。
4. 死亡しても後遺症が遺っても訴訟が困難
これは一番の問題かもしれません。日本の医療機関で診療を受けたなら、あまりに酷い結果が生れば、訴訟の手順を踏むこともできますが、外国で受けた診療の後遺症や死亡結果を訴えることは容易ではありません。弁護士の問題や言葉の問題で手続きがかなり煩雑になるので、泣き寝入りすることになる可能性があります。
スクエアクリニック公式HP
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