1.膠原病
2.薬疹・中毒疹
3.小児感染症
4.癌の皮膚転移(皮膚癌以外)
5.性病の皮膚症状
3.#小児感染症(皮疹による区別)
今回は①➁➂ 次回は④⑤⑥⑦
① #突発性発疹
② #麻疹(はしか)
③ #風疹(三日ばしか)
④ #水痘(みずぼうそう)
⑤ #手足口病
⑥ #伝染性紅斑(リンゴ病)
⑦ #流行性耳下腺炎(おたふく風邪)
① #突発性発疹
原因:生後6カ月前後は、お母さんからもらっていた免疫力(抗体)が減少し、この頃から風邪をひきやすくなります。この時期に多く見られるのが突発性発疹。生後6カ月頃から2歳までに発症する病気で、ヘルペスウイルス6型(HHV-6)と7型(HHV-7)が原因で起こります。
症状:解熱後に全身に小さな赤いブツブツが出てきます。また、突然発熱して38℃以上高熱が3日程度続き、解熱後に突然発疹が出現します。発疹も3日程度で消え、多くはこの症状で終わります。発疹は、細かい赤い発疹で、少し盛り上がっているのが特徴です。他の症状として、下痢、リンパ節の腫れが確認できることもあります。
合併症:熱性けいれんを起こすことが稀にあります。また、極めて稀ですが、脳炎、脳症、劇症肝炎、血小板減少性紫斑病を合併することがあります。痙攣が20分以上続く、意識がない、白眼が黄色くなる黄疸、内出血が多いなどの症状が見られる時は、急いで医療機関を受診しましょう。
診断法:突発性発疹の診断は、症状がすべてです。解熱後に発疹が出て診断されます。
予防法・治療法:突発性発疹の予防法は、特にありません。また、HHV-6、HHV-7に対する特効薬はありません。2歳までにかかるので、発熱時の対応がメインになります。あとは、合併症に対する対症療法です。
典型的な突発性発疹症例。
➁麻疹(はしか)
原因:麻疹は、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。
感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。
発生状況:麻疹は、過去の推移を見ると、平成19・20年に10~20代を中心に大きな流行がみられましたが、平成20年より5年間、中学1年相当、高校3年相当の年代に2回目の麻疹ワクチン接種を受ける機会を設けたことなどで、平成21年以降10~20代の患者数は激減しました。(厚労省H Pより)
症状:感染して10~12日の症状のない期間があった後、高熱、咳、鼻水が数日間持続し、口の中に小さな(約1mm)白い発疹(コプリック斑)ができます。熱は一度下がりますが、半日程で再び上昇し、その後体中に赤い発疹ができます。別の病気に同時にかからなければ、7~10日後に回復します。
合併症:肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。その他の合併症として、10万人に1人程度と頻度は高くないものの、麻しんウイルスに感染後、特に学童期に亜急性硬化性全脳炎と呼ばれる中枢神経疾患を発症することもあります。
ワクチンについて:麻疹は感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻疹ワクチンの予防接種が最も有効な予防法といえます。また、麻疹の患者さんに接触した場合、72時間以内に麻疹ワクチンの接種をすることで、発症を予防できる可能性があります。
麻疹含有ワクチン(主に接種されているのは、麻疹風疹混合ワクチン)を接種することによって、95%程度の人が麻疹ウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。2006年度から1歳児と小学校入学前1年間の小児の2回接種制度が始まり、2008年度から2012年度の5年間に限り、中学1年生と高校3年生相当年齢の人に2回目のワクチンが定期接種として導入されていました。
ワクチン接種後の反応:多く見られる症状として発熱、発疹、鼻汁、咳嗽、注射部位紅斑・腫脹などがみられます。重大な副反応として、アナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳炎・脳症、けいれん、血小板減少性紫斑病ごく稀に(0.1%未満)報告されていますが、ワクチンとの因果関係が明らかでない場合も含まれています。
なお、麻疹含有ワクチンは、ニワトリの胚細胞を用いて製造されており、卵そのものを使っていないため、卵アレルギーによるアレルギー反応の心配はほとんどないとされています。しかし、重度のアレルギー(アナフィラキシー反応の既往のある人など)のある人は、ワクチンに含まれるその他の成分によるアレルギー反応が生ずる可能性もあるので、接種時にかかりつけの医師に相談してください。
治療:特別な治療法はなく、対症治療がなされます。中耳炎や肺炎などの別の病気に同時にかかってしまった場合には、抗菌剤を投与する必要があります。麻疹患者と接触した後、72時間以内に麻疹を含むワクチンを接種することで、発症を予防できる可能性があります。先進国においては、まず死亡することはありませんが、まれに合併症である脳炎や肺炎で死亡することがあります。
予防:麻疹は空気感染するため、手洗いやマスクでは予防できないため、予防接種が有効です。予防効果を確実にするためには、2回の接種が必要です。予防接種を受けたことがなく、麻疹に罹ったこともない場合には、ワクチン接種を受けることをお勧めします。
麻疹の皮疹。
➂風疹(3日ばしか)
風疹とは:風疹(rubella)は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症です。症状は不顕性感染から、重篤な合併症併発まで幅広く、臨床症状のみで風疹と診断することは困難な疾患です。
風疹に感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、出生児が先天性風疹症候群を発症する可能性があり、注意が必要です。
病原体:風疹ウイルスは、上気道粘膜より排泄されるウイルスが飛沫を介して伝播されますが、風疹の基本再生算数(R0)は5~7であるのに対して、麻疹(12~18)、流行性耳下腺炎(4~7)、百日咳(12~17)とされています。
臨床症状
感染から14〜21日の潜伏期間の後、発熱、発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭部、頚部)が出現しますが、発熱は風疹患者の約半数にみられる程度です。顕著な症状は、3日は続きます。また不顕性感染が15~30%程度存在します。3徴候のいずれかを欠くものについての臨床診断は困難であることに加え、溶血性連鎖球菌による発疹、伝染性紅斑、修飾麻疹、エンテロウイルス感染症、伝染性単核球症など似た症状を示す発熱発疹性疾患や薬疹との鑑別が必要です。
皮疹:多くの場合、発疹は淡紅色で霧吹き状で、皮膚面よりやや隆起しており、全身に広がるにはさらに数日間を要することがあります。
合併症:リンパ節は発疹の出現する数日前より腫れはじめ、数週間位持続します。眼球結膜の充血を伴うことがありますが、これも麻疹に比して軽度です。
基本的には予後良好な疾患ですが、高熱が持続したり、血小板減少性紫斑病(1/3,000〜5,000人)、急性脳炎(1/4,000〜6,000人)などの合併症により、入院が必要になることがあります。成人では、手指のこわばりや痛みを訴えることも多く、関節炎を伴うこともあります(5〜30%)が、そのほとんどは一過性です。
風疹に伴う最大の問題は、感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が感染したことにより、風疹ウイルス感染が胎児におよび、先天異常を含む様々な症状を呈する先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)が出現することにあります。
治療・予防
発熱、関節炎などに対しては解熱鎮痛剤が用いられるが、特異的な治療法はなく、症状を和らげる対症療法のみです。
弱毒生ワクチンが実用化され、広く使われており、先進国ではMMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹)混合ワクチンとして使用している国がほとんどですが、我が国では1989年4月~1993年4月までの4年間、麻疹の定期接種(生後12カ月~72カ月未満)の際に、選択しても良いという形で導入されたが、おたふくかぜワクチン株による無菌性髄膜炎の多発により中止となり、それ以降使用されていません。
典型的な典型的な風疹の皮疹。麻疹より、細かい霧吹き状である。
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