今回は、全身病性皮膚疾患の最後です。
1.#膠原病
2.#薬疹・中毒疹
3.#小児感染症
4.#癌の皮膚転移(皮膚癌以外)
5.#性病の皮膚症状
4.癌の皮膚転移(皮膚癌以外)
初めに、癌や肉腫、すなわち悪性腫瘍の転移のメカニズムについて、理解しましょう。
悪性腫瘍は、転移さえしなければ摘出するだけで完治するわけですが、身体の他部位に転移して発育することが、治療を困難にし、場合によっては死に至るのが、正に悪性たる所以です。
勿論、皮膚癌も皮膚転移しますが、内臓癌の皮膚転移もあります。やそれは、どのような機序で起こるのでしょうか。
癌細胞や肉腫細胞は、分離して血液やリンパ液で他部位に転移するわけです。従って、結果やリンパ管の届いていない部位に限定される段階のものは、決して転移しません。これはとくに、皮膚でははっきりしていて、皮膚の構造上基底膜をこえていない、いわゆる「表皮内癌(Carcinoma in situ)」では、転移しません。これには、ボーエン病(有棘細胞癌の表皮内癌)、乳房外パジェット病(パジェット癌の表皮内癌)、表皮内に留まる悪性黒色腫(Malignant Melanoma in situ)があります。
これらに反して、基底膜を超える皮膚癌、肉腫、内臓癌は皮膚に転移することがあります。疑いがあれば、摘出生検で病理診断を仰ぐのが必定です。しかし、皮膚転移をするようなステージの皮膚癌、内臓癌、肉腫は、既に手遅れになっている可能性が大きいので、末期と言わざるを得ないでしょう。
5.#性病の皮膚症状
性感染症の内、梅毒、ヘルペス、尖圭コンジローマなどが、皮膚症状・所見が顕著に表れる疾患です。
1. 梅毒の皮膚症状
第1期
感染から3週間ほどの潜伏期間を経て症状が現れ、最初の症状が現れる時期を第1期といいます。この時期には、梅毒トレポネーマが侵入した箇所に初期硬結と呼ばれる小さなしこりが現れます。赤く腫れ、コリコリと硬いことが特徴です。太腿の付け根辺りの鼠経リンパ節が腫れることもありますが痛みがないことが大半で、これらの症状は数週間で自然に消滅していきます。
第2期感染から3カ月ほどで現れる症状を第2期といい、バラ疹と呼ばれるピンク色の発疹が手のひらや足の裏、顔など全身に現れるようになります。発疹に痛みや痒みはなく、喉が腫れる場合もあります。数週間で再び症状が消滅しますが、治療しなければ体内には梅毒トレポネーマが潜伏した状態になります。
第3期感染から3年ほど経つと症状が後期に入り、第3期と呼ばれる時期に入ります。現在ではこの時期までに治療されることがほとんどですが、治療しなければ腫瘍が現れるようになります。ゴム腫(Gumma)と呼ばれる腫瘍で、皮膚だけではなく骨や筋肉、内臓にまで広がります。
第4期感染から10年以上経つと第4期といわれ、末期症状が現れるようになります。梅毒トレポネーマに全身の臓器や神経が侵され、神経障害や脳梗塞、心不全など命に関わるような状態になることもあります。

手掌に生じたバラ疹。
2. 性器ヘルペス
接触で感染する、性器ヘルペスは完治が困難で、万が一妊婦の産道で新生児が感染すると、赤ちゃんの死亡率が高い、致命的な感染症ですので、甘く見ることはできません
症状は、痒みや痛みで男性では、下図のように、包皮に小水疱ができます。女性では、膣の入り口から内部にかけて、小水疱ができますが、外見ではわからないことが多いようです。
治療は、非ステロイド軟膏や抗ウイルス外用剤の塗布、バルトレックス™などの抗ウイルス剤の投与ですが、保険医療では、投与日数が限られていますが、長期投与が効を奏する場合があります。

3. 尖圭コンジローマ
男性では、亀頭のいわゆる「カリ」の部分や包皮にできます。ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因なので、治療は、液体窒素で凍結したり、電気メスやレーザーで焼灼します。痛いので、ゼリー状麻酔剤の使用が必須です。女性では小陰唇、膣の入り口などにできますが、子宮頸部にできると、子宮頸部癌の原因になることもありますので、注意が必要です。

尖圭コンジローマ。
相談は:水道橋駅前・スクエアクリニック・デンタル医科部門
までお願いします。血液検査,抗生剤投与やとレーザー治療を行ないます。
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