百束比古 美容外科後遺症外来
- HIKO HYAKUSOKU
- 10月23日
- 読了時間: 5分
姓名：百束比古（ひゃくそく・ひこ）
現在の所属：水道橋駅前・スクエアクリニック・デンタル医科部門院長
Ph:03-6272-8787 E-mail:info@hiko-sq.com
２． 医師の進路と美容外科の関係―卒後教育の実態
（１）医学部に入った後の大学での教育について
医学生は、高校卒業後入学試験の受験資格が与えられます。しかし、多くの医学部は偏差値が高く、面接での当たりはずれもあり、現役での合格は容易とは言えず、２浪、３浪が当たり前のようです。
そして無事合格して入学すると、最初の１年間は昔の２年間の進学過程と同じく、殆ど医学以外の教養を学びます。そして、２年以後は医学の基礎科学を、更に臨床医学を学び、４年生の最後に「CBT」と言って、臨床実習に進めるかの試験を受けます。５年目は「BSL」で、病院で医師の指導のもと、患者さんを教材にして、臨床医学の実地教育を受けます。そして、６年目は国家試験の勉強が主になります。
卒業試験を突破したら、目出度く卒業し、前後して医師国家試験を受験します。合格すれば「医師」の国家資格を得ることができます。因みに、入学してからストレートに医師になれるのは、勿論大学によって異なりますが、大体６０％から９０％位と思われます。
（２）２年間の卒後臨床研修
昔は「インターン制度」と言う、１年間学生のように無償で大学病院に所属して、臨床教育を受ける制度があって、これを奴隷制度のようだとして、激しい反対運動に見舞われたのが廃止へのきっかけとなり、２００５年ころまでは、義務化された臨床研修はありませんでした。
しかし、卒後いきなり医局に入って、合わずに直ぐにやめたり、臨床経験なしに基礎医学教室に入ってアルバイトで臨床医療に従事したり、臨床経験なしに病院に就職したり開業したりする医師が可成りの数あったようで、医療事故も増えたようで、これではいかんと厚労省は２年間の臨床研修の義務化を企てたようです。
（３）その結果「＃直美」の増加
美容外科は外科なので、患者さんの生命を与ると言う道義的責任があります。従って、２年間の各科研修では学べず、大学病院などの「形成外科」に専門医を取得するまで在籍して、外科医の基本を学ばなくては、患者さんを扱うことは危険です。
それを、２年間の臨床研修（外科系は１年もない）を受けたから大丈夫（そんなわけない！）と言って、即美容外科に就職するのです。これを「直美」と言われて問題化しています。まるで、何年もの下積み修行をしないで、回転ずしの職人になるようなものです（事項参照）。また、美容外科は自費診療なので、早くから保険医療を捨てることにもなります。なお、「直美」の医師は、高給の代償として、通常学位も専門医も取れません。
（４）大学病院の医局に入局した後の後期卒後研修
通常の医師の進路として、２年間の臨床研修を前期研います。修と数えて、卒後３年目からは専門医を目指す医局（教室）に入局します。例えば、内科、外科、麻酔科、放射線科、精神科、皮膚科、整形外科、形成外科、泌尿器科、救急医学科など。現在ではかなり細分化されていて、内科や外科の中でも、専門性の高い分野に分かれています。
そこで、４年から６年、或いはもっと長く研修して専門医試験を受けます。大学に残りたい場合などは、同時に医学博士号取得の為の研究にも励みます。
（５）その後の進路について
大学病院の医局では、序列の順序は、有給後期研修医→助教→医局長→講師→准教授→教授・大学院教授です。病院によっては、病院教授とか臨床教授とか特任教授とか年齢や勤務年数によって栄誉的に称号を与える場合もありますが、飽くまでも、大学院教授（昔は主任教授）が医局の頂点です。通常、講師以上は医学博士号と専門医を取得し、複数の英語論文を著してなければなりません。大学院教授は英語論文を二桁、時には三桁必要とし、外国留学歴を有すると言う狭き門です。因みに私がかつて４５歳で主任教授に選任された時は、英語論文３０以上、和文論文約１００、豪州留学歴ありでした。
（６）途中対局の場合
入局したが、収入が限定されるので、家庭の事情や病気や精神的な事情で中途で対局する場合、専門医は取得不可能となります。それでも、医学部卒業・国家試験合格・２年間の臨床研修修了であれば、臨床医として働くことはできます。従って直美の医師と同様勤務医にもなれるし、開業もできます。今はネットで医師の求人も盛んですので、職を得ることは、贅沢を言わなければそれ程困難ではありません。しかし、犯罪歴や精神的な病歴があると、書類審査ではねられる場合もあります。しかし、短期でも医局に所属して何らかの専門性があると、より採用されやすいと思います。その意味で、形成外科など外科系の経験の皆無の「直美」の医師は不安です。
(7)基礎医学を専攻する場合
臨床医学ではなく、基礎医学（解剖学、生化学、生理学、法医学、免疫学、薬理学、公衆衛生学、病理学、その他）に進みたい場合は、昔は大学を卒業すれば、極端には医師免許をもたなくても入職できました。しかし、今は、医師免許を取得して２年間の臨床研修を終了しないと難しいようです。
また、臨床医学の医局で博士号のために、基礎医学の教室に派遣されて基礎医学にはまる医師も多いようです。実際私の医局から、出向した法医学にはまって、他学の法医学教授に成った医師がいます。
（８）大学院入学の場合
これには、臨床系医学系と基礎医学系があり、通常は４年間に医学博士を取得して終了します。しかし、論文が完成しないで何年間も延長される場合も多いようです。臨床医学系では、大学病院に勤務しながら在学するのが殆どです。
大学院生は学生なので、基本学費が必要で無給ですが、医師であれば週１，２のアルバイトで何とか生活は可能です。
スクエアクリニック公式HP
警鐘！美容医療の落とし穴: 〜美容外科・美容医療に 纏わるトラブルや後遺症集
美容医療で死なないために: 美容外科・美容医療に纏わるネガティブな問題と近未来への提言
北岡冬木全詩集
＃百束比古 ＃美容外科後遺症外来
コメント