鼻形成とリスク
① 隆鼻術
いわゆる鼻を高くする手術ですが、古典的には象牙を鼻背に入れる方法がありました。現在行われている方法には大きく分けて以下の三つの方法があります。
⑴ シリコンプロテーゼを入れる方法
⑵ 介軟骨を入れる方法
⑶ フィラーを注入
シリコンプロテーゼは市販のものがあり、それを細工して鼻孔上部の切開から鼻背に挿入する方法で、固い異物であるので、異物反応や感染による炎症や潰瘍が生じるリスクがあります。その場合、取る必要があります。
写真:(上)15年前に鼻を高くする目的で挿入したシリコンロッドが感染にて露出した。 (下)結局摘除しなければならなかった。
耳介軟骨は自分の耳の後ろを切って短冊状に取り、重ねたりしてやはり鼻孔の上部から鼻背に挿入します。足りなければ両方の耳から軟骨を取ります。耳の形が極端に変わることはありませんが、耳の後ろの折れ目の所に長い傷跡が遺ります。まれにこの傷がケロイドになるのがリスクでしょう。高くする鼻の形が思ったようにできなかったり、高さが足りなかったりするリスクはありますが、異物ではないので炎症のリスクはまずありません。
フィラー注入は、傷ができない利点はありますが、使うフィラーによっては、異物反応による炎症が生じたり、非吸収のものでは、形が変でも取れないことがあります。また、鼻根部の注入で、誤って眼動脈に注入して失明したという報告があります。
写真:4年前に鼻を高くする目的で、非吸収性フィラーを鼻に注入されたが、変形や皮膚の発赤を生じた。しかし、フィラーは皮膚と癒着して摘出できない。
注:異物にせよ、自家軟骨にせよ、年余を経ると石灰が沈着することがあります。
石灰自身は、体に害を与えることはありませんが、凸凹の原因になったり、挿入物の取り出しを希望しても石灰がスムーズな取り出しを邪魔することもあります。
① わし鼻形成術
日本人にはわし鼻は少ないのですが、白人とくにユダヤ人に多いとされます。やはり、鼻孔上部の切開から鋸のような器具を挿入して、出っ張っている鼻骨や軟骨(ハンプ)を切除します。
② 鼻翼縮小術
横に広がった鼻をより狭くしたり、小鼻を小さくする手術です。鼻翼の基部を切除したり、鼻孔の底部を縮小します。傷跡もほとんど目立たず後遺症のリスクはないようですが、まれに鼻の非対称が生じたり、顔面動脈に損傷を与え組織壊死などのリスクを生じることがあります。
③ 唇裂術後鼻変形形成
これは、美容外科と言うより形成外科専門医に任せるべき手術です。経験や資格のない美容外科医が安易に行うべき手術ではないと思います。
注:鼻孔上部の切開は通常左右両側に行うのが左右差を防ぐ意味で有用です。片側だけで行うと鼻孔の左右差や鼻閉が、両側切開を行った場合より遺るリスクがあります。
スクエアクリニック公式HP
警鐘!美容医療の落とし穴: 〜美容外科・美容医療に 纏わるトラブルや後遺症集
美容医療で死なないために: 美容外科・美容医療に纏わるネガティブな問題と近未来への提言
北岡冬木全詩集
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