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  • 執筆者の写真HIKO HYAKUSOKU

顔面フィラー注入のトラブル


顔のシワ取り、下眼瞼のゴルゴライン、下口唇のマリオネットライン、法令線や水疱瘡後の凹みなどをフィラー(注入剤)で充填する施術後のトラブルがあり得ます。フィラーのほとんどはヒアルロン酸やコラーゲンなどの数ヶ月から1年で吸収される物質なので、期待通りの結果が得られなくても、多くの場合いずれ吸収消失します。また、ヒアルロン酸にはヒアルロニダーゼと言う分解剤があるので、吸収される前に除去することも不可能ではありません。(注参照)

以下にトラブルの種類を列挙します。


1. シコリ(特に下眼瞼)が生じる

2. アレルギー反応による皮膚異常(ヒアルロン酸ではまれに見られる) 

3. 血管内注入や血管圧迫による皮膚の炎症や壊死

多くは動脈塞栓であり、口唇部、鼻翼部に起こる。鼻根部で眼動脈に注入して失明したケースもある

4. 感染(不潔な操作や毛穴や皮脂腺の炎症の波及によって起こる)

5. 年余を経ても消失しない(非吸収性物質の可能性が高い)

純粋な吸収性フィラーでは、余程一塊として注入しない限り消失するが、半永久的に吸収されないことがメリットのように説明され、非吸収生物質がフィラーとして使用される場合があり、その場合は皮膚を切らない限り除去できない

 


(左)ヒアルロン酸注入にアレルギー反応を示した例(青木律氏提供)。(右)非吸収性フィラーによるシコリの形成。


(左)15年前にしわ取り目的で顔にシリコンを注入され、異物反応で腫脹した。[右]20年前に顔面にシリコンを注入された。

 

注:ヒアルロン酸などの吸収性物質の注入について

ヒアルロン酸などの吸収性物質は、皮下に少量ずつ分散させて注入した場合は半年から1年で吸収されてなくなりますが、一部分に大量に(例:小指頭大)まとめて注入すると、異物反応で周りにカプセルを形成し吸収されないことがあります。この場合は分解酵素(ヒアルロニダーゼ)の注射によって溶解させなければなりません。しかし,分解酵素で炎症をきたして皮膚に色素沈着などをのこす遺すことや、シコリが遺ることもあり、注意が必要です。

さらに、ヒアルロン酸の乳房注入による豊胸術があります。しかし、これはヒアルロン酸の誤った使用方法と考えます。たとえ吸収性物質でも、一箇所に大量に注入されれば異物肉芽腫のシコリができ、吸収を阻害する確率が上がります。

 

 

3.成長因子のトラブル(PRP=血小板凝縮血漿との混合も含めて)

 

成長因子は、元々は某医大の医師が十数年前に再生医療の一環として、成長因子を手のシワ取りとして注入することを倫理委員会で認可されたことから始まりました。要するに、成長因子が真皮のコラーゲンを新生ないしは増生して、皮膚の張りを促すのを目的としたようです。

この理論を顔面の小ジワ取りや若返りに応用できないかと考えたのが某美容外科医です。同じような目的で行われていた血小板凝縮液(PRP)にこれを混ぜて、顔面などに注入することで効果の増強ができると信じて、大々的な広告により患者が集められました。

その効果は英語論文にもされたようですが、私は悲惨な後遺症患者しか見ていないので、その内容にはかなり懐疑的です。後遺症のほとんど、顔面の腫れや凸凹、時には頬骨や額(おでこ)の不自然なシコリ形成です。

しかるに、成長因子は、真皮や皮下脂肪を増殖させる作用があり、その程度は予測できないので、不自然なシコリ形成を防げません。

しかも、成長因子には「癌細胞をも増殖させる可能性」があり、例えば皮膚癌や真皮や汗管や毛嚢(毛の生える元の部分)から発生する癌があった場合には増殖させる可能性があります。すなわち、できた凸凹やシコリが絶対に癌ではないとは言い切れません。頻度は極めて低いのですが、絶対ではない限り手術前に患者に説明し長期の経過観察をする必要があります。

ちなみに、皮膚と真皮層に原発する可能性のある悪性腫瘍を列挙しますと、「基底細胞癌」、「有棘細胞癌」、「悪性黒色腫」、「毛嚢癌」、「汗腺癌」、「隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)」、「悪性線維性組織球腫(MFH)」などです。

万が一、これら悪性細胞のでき始めに成長因子が注入されたらとしたなら、ゾッとしませんか?

 


(上下)成長因子付加PRP注入後の多発性のシコリ。


頬骨部に注入された成長因子加PRPによる腫瘤状のシコリ。両側頬骨部(特に右側の異常な膨隆)が見られる。成長因子注入による皮下組織や皮下脂肪の異常な増殖が原因である。

 

注:最近「幹細胞培養液含有化粧品」とか「幹細胞注射」とか、いかにも再生医療を連想するような、治療法を謳うクリニックが増えています。医学的には美容に対して何ら根拠がないか薄い文言ですので、このような治療に高額な治療費を払う際には、十分に医師の説明を聞いて納得してからにしてください。




スクエアクリニック公式HP


警鐘!美容医療の落とし穴: 〜美容外科・美容医療に 纏わるトラブルや後遺症集


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