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執筆者の写真HIKO HYAKUSOKU

乳房バッグのトラブル/脂肪注入による豊胸のトラブルと嘘

【乳房バッグが破れているから入れ替えが必要という誤診?によるトラブル】

豊胸術や乳房再建で埋入された乳房バッグプロテーゼの状態を判断する検査には、X線マンモグラフィ、CT、MRI、エコー(超音波)検査などがあります。

万が一バッグが破れていたらどうなるでしょうか? 

内容物が流動性のシリコンジェルやハイドロジェルの場合は、ジェルの漏出によりその昔の注入による豊胸術と同じような合併症、すなわちシコリの形成や左右差が現れて来ると思われます。しかし、バッグの周りにカプセル状にできた結合組織がバッグのような役割をして、何も変化がない場合もあります。

最近使われている破損しても内容物が流出しないコヒーシブ・シリコンバッグでは、何も変化はないでしょう。

1990年代に使われた生理食塩水バッグでは、破損した側がぺちゃんこになるのですぐにわかります。

さて、検査ですがCTやマンモグラフィーではバッグの破損は良く診断できます。しかし、エコー検査だけではバッグの折れ曲がりを破損と誤診しやすいのではないかと危惧します。

信じたくないお話しですが、破損確定できないのに「破損しているから」と言われ、高額な入れ替え手術を勧められたが、他医で検査を行ったら単なる折れ曲がりだったというケースを数例診察したことがありますので、くれぐれもご注意してください。そのような意図的な商売がないとは言い切れませんので。

(コラム9参照)

 

 

 

【脂肪注入による豊胸のトラブルと嘘】

1.脂肪注入は1980年代から日本で行われていた。

自分の脂肪を吸引などで腹部などから採取して、注射で乳房に入れる豊胸術の手法は1980年代から我が国では行われていたと思われます。しかし、一度血流を失った脂肪細胞が大量に乳房に注入されても再び血管が侵入して生着する割合は低く、大部分の脂肪は死んで、ワセリンやパラフィンのような炭化水素系異物になり、感染や異物反応を招き、コラーゲンの被膜やシコリあるいは石灰化化合物になるはずです。

 

2.コールマンによる改良

しかし、2000年代の半ばにアメリカの形成外科医「コールマン」が自家脂肪でも少量ずつ乳腺下に分散させて注入することで、生着率を可成り上げることができると発表しました。すなわち、この手法は 「時間をかけて」 「丁寧に」 行わなければなりません。

 

3.脂肪幹細胞の抽出

また、2000年ころUCLAのザクやへドリックのチーム(日本からは現順天堂形成外科水野博司教授が参画)が脂肪細胞から幹細胞を発見し、現自治医大形成外科の吉村教授らがこれを混合する脂肪注入法を開発して研究されていました。

 

4.これらの情報の誤用(嘘)

ところが、脂肪注入の豊胸術をしている一部の美容外科医は、これらの情報を利用した広報で患者を集めているようです。脂肪細胞には幹細胞が含まれるから再生医療である、と言うのはどう考えても嘘です。幹細胞は抽出して始めて再生医療に供するのです。大体、本当にこれらの手法を取り入れたら抽出・注入する機材も必要ですし、少量ずつを分散して注入しなくてはならず、より時間がかかりコストパフォーマンスが合わなくなる可能性があります。

 

脂肪注入法による豊胸術後のシコリのCT像。乳癌との鑑別が困難な場合もある。



同じ患者さんのマンモグラフィー。多発性の陰影があり、乳癌の早期発見が困難である。




スクエアクリニック公式HP


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