私が鑑定書・意見書を書いたり、裁判に関わった#形成外科・美容外科の裁判事例概説。(個人名は伏せます。)
- HIKO HYAKUSOKU

- 10月2日
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私が鑑定書・意見書を書いたり、裁判に関わった#形成外科・美容外科の裁判事例概説。(個人名は伏せます。)
文責:百束比古
12.人工物注入による#豊胸術の後遺症―3.#ヒト・アジュバント病の罹患
異物とくにシリコンジェルの注入によって、自己免疫疾患様の「ヒト・アジュバント病」が発生すると言う医学論文が多数発表されており、国際的にも問題となって、1990年代に「生理食塩水バッグ」が多くの豊胸術で使用された。
実際に、原因が異物注入との断定はできないが、豊胸術後に抗核抗体などの自己抗体が高値となり、自己免疫疾患様の症状を来す症例があった。医学的には厳密な関連付けは困難であっても、法的には否定が出来ない事例があった。異物を注入する豊胸術では、そのようなリスクがあるこちは、術前に説明すべきである。

わが国で初めて報告された、ヒト・アジュバント病による死亡例。
文入正敏、久保田昭男、小林明子
豊胸術術後障害—特に異物注入による全身変化について、外科、36:1371−1375、1974より
13.人工物注入による豊胸術の後遺症―4.多発性のシコリ形成
異物注入による硬結(シコリ)の形成は、異物が異物肉芽腫によって取り囲まれたり、置き換わることが主因である。
これは、自家脂肪の注入でも起こり得る。それは、自家脂肪も生着しない多くの脂肪が異物として生体に認識されるためである。
異物が分散して注入されれば、多数の小さなシコリができるし、大きな塊として注入されれば、大きなシコリとなる。
疼痛を伴ったり、感染して皮膚に固定疹や潰瘍をつくることもあり、何よりも問題なのは乳癌早期の自己診断を阻害することである。
また、シコリの摘出には櫃切開が必須であり、キズを避けた施術の目的に反することになる。
豊胸術は家族や配偶者に内緒でおこなわれるケースが殆どであり、泣き寝入りしている患者が多いが、稀に弁護士を付けて法的に対応されることがある。

(左)異物注入による多発性のシコリ。(右)そのCT像。多発性の陰影が見られる。

(左)一塊として注入された自家脂肪による単発性のシコリ。(右)その除去によるシコリ。左側は切開すると内容の死んだ自家脂肪が流出した様子。要するにシコリの正体は、死んだ脂肪を異物肉芽のカプセルで包括している状態である。

(左)自家脂肪注入後の多発性のシコリ形成と感染による皮疹。(右)そのマンモグラフィー。これでは早期がんは不明確である。
#形成外科 #豊胸術の後遺症 #ヒト・アジュバント病
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