私が鑑定書・意見書を書いたり、裁判に関わった形成外科・美容外科の裁判事例概説
- HIKO HYAKUSOKU

- 8月21日
- 読了時間: 2分
3. #糸リフトの後遺症―感染
切らないフェイスリフトということで、埋没糸を下口唇から口角の横の部分と、コメカミ付近に埋没糸を通し、皮下組織を吊り上げる方法が「小顔形成」として、「フェザーリフト」などと称して盛んに宣伝され行われています。
大半は目的を果たしているのかも知れませんが、私は多くの合併症・後遺症を診察してきたので、素直に良い方法と認めることができません。
① 顔面の腫れ
一番多いトラブルは急性期では顔面の腫れです。原因は何らかの菌の侵入による、感染です。これは、丹毒と同様CRP値を測り高値であれば、抗生物質の投与が必要です。
感染以外では、異物反応による炎症が考えられます。この場合ステロイドの投与と糸の抜去が必要です。しかし、ステロイドは感染による場合は禁忌ですので、血液検査でCRP値を確認しないで、無闇に投与してはなりません。
さらに、顔面内部での出血により血腫が生じている場合もあります。診療のために、大病院か大学病院に受診した方が良いと考えられるならば、施術医が紹介状を書かなければなりません。それさえ遣ってもらえない美容クリニックは避けるべきです。
➁.表情の引き攣れ
施術後大分経過しての後遺症には、表情を作った時の顔の引き攣れがあります。特に笑ったときに起こりやすいようです。
➂ 感染による排膿
次に多いのは、糸による感染で生じる排膿です。吸収糸・非吸収糸に限らず生じ得ます。この場合も糸を取り除く必要があります。そのために、糸の刺入口にキズアトが遺ると思います。
④ 顔面神経の傷害
極く稀に顔面神経を損傷して、例えば側頭枝では眉が動かなくなったり、下顎縁枝では表情によって反対側の口角が下がってしまうこともあります。炎症の波及によるものでしたら、いずれ回復しますが、直接損傷した場合、回復せず顔面の非対称が遺ってしまう危険もあります。
⑤ まとめ
実際に10年ほど前に、大手の美容外科チェーンを相手取った集団訴訟があり、私も裁判の為の意見書を書いたことがあります。結果は勝訴・示談でした。
スクエアクリニック公式HP
警鐘!美容医療の落とし穴: 〜美容外科・美容医療に 纏わるトラブルや後遺症集
美容医療で死なないために: 美容外科・美容医療に纏わるネガティブな問題と近未来への提言
北岡冬木全詩集
#形成外科・美容外科 #糸リフトの後遺症.


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