自家脂肪移植の基礎知識。
- HIKO HYAKUSOKU
- 6月5日
- 読了時間: 3分
① 注入自家脂肪は完全には生着しない!
自家脂肪を、腹部や大腿部から吸引などで採取して、注入して豊胸術に使ったり、目の下や法令線の充填に注入して使う方法が一部で行われている。
しかし、自家脂肪移植は、幹細胞をばら撒いたり、コールマン法といって、時間を掛けて分割注入しても、絶対に100%完全には生着するわけではない。
まあ、自家脂肪は、パラフィンやワセリンの様に、単なる充填材料として使用するものだと考えれば、脂肪細胞が完全に生着して生きなくても脂肪だから構わないと言う考えである限り、起こり得る後遺症の術前説明は厳密且つ正直でなければならない。
➁ 生着しなかった脂肪はどうなるか?
前述したように、生着しなかった自家脂肪は、パラフィンやワセリンのような、炭化水素系の異物として残る。従って、脂肪細胞が生着しなかった脂肪は異物肉芽腫に取り囲まれ、シコリとなって遺る。脂肪を分散して注入すれば、多発性のシコリとなり乳癌の自己診断を妨げ、一か所に塊として注入すればカプセル状の異物肉芽腫となる。

➂自家脂肪移植の後遺症にはどんなのがあるのか
前述のようにシコリの形成はほぼ必発と言って良い。あとは、感染と乳癌発見の遅延がある。
感染は、局所的には皮膚の壊死・潰瘍があり得る。全身的には、敗血症まで行く可能性は皆無ではないが、施術医師の責任で重篤な状態は回避できるはずである。乳癌発見の遅延は、生死に拘わる問題と考える。画像診断まで行けば、乳癌は発見できるが、それまでの自己診断はシコリにより阻害されて困難である。美容外科医はそのことを余りに軽視しすぎる傾向がある。自分の施術にもっと責任をもつべきである。

では、本当の事をいいます。豊胸目的な程の量の自家脂肪移植は、吸引した脂肪をいかなる細工を施しても、注入して完全に生着させることはできないのである。では、自家脂肪を100%完全に生着させる方法があるのか?あるのである。
移植する自家脂肪を一塊として、栄養血管を付けて、マイクロサージャリーで移植すれば、自家脂肪の完全移植はできるのである。
以下に、筆者の施行した実例を示す。但し、この症例は古いシリコンバッグによる肉芽腫を自家脂肪で交換した症例である。

スクエアクリニック公式HP
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#自家脂肪移植
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